可能性の解釈

このエントリの内容に関してはつまらんとか個性の芽を摘むとか言われても大賛成なのであるけど、ちょっと例えが気になった。主旨には全く関係ない話なので、それはそれとして読んで頂ければ嬉しい。

整理しておくと、

この作品は、当然、こう読めなくてはいけない、ということは、たとえ本文にハッキリ書いていなくても、厳然としてある、とわたしは思っている。

は全くその通りと思うのだけど、例えに出てくるとんちんかん回答に私は一理あると思う。どうやら私はとんちんかんな事を言う人みたいなのです。(別に人をとんちんかん扱いすんなー。ガー、ウラァーという意図は無いです。)

ではでは以下本題。

「『舞姫』の太田豊太郎はなぜエリスを捨てたのか」という問いに対して、唯一無二の答えなどないと思うけれど、「他に好きな女ができたから」という答えは誤答だ。

でも、「太田豊太郎の行動をきみはどう思うか」という問いに対しては、それこそ「みんなちがって、みんないい。」

ただ、「最初いいと思ったくせに飽きたからって女をすてるなんて最低だ」という意見があったとしたら、「豊太郎はエリスに飽きたからすてたのかな?」と、お約束をクリアしていないと思われる部分に対して、示唆を与える必要があると思う。

舞姫の話の筋は結果論で言うと、豊太郎の主体性の無い振る舞いが、エリスを翻弄し発狂させ、さらにエリスのお腹に宿った自分の子供もろとも捨てて日本に帰ったというような物で、端的に言えば酷い話な訳だけど、そのなかに「最初いいと思ったくせに飽きたからって女をすてるなんて最低だ」という意見をお約束をクリアしていないとして良いのだろうか。

もちろん、テクニックとしての教科書的な解釈の仕方というのはあるし、文章中や、模範的解釈の中に「最初いいと思ったくせに飽きたからって女をすてるなんて最低だ」というのは入ってないと思う。しかし、この考えが豊太郎のなかに微塵もなかったかと言えばそんな事は無いと思う。なんてたって豊太郎は自分の身可愛さに(別に自らの命に関わる事情ではない。官僚に戻りたかっただけの話だ)エリスや自らの子を捨てる様な意志薄弱な最低人間なのだ。

中学生の解釈としては過激なのでアンタッチャブルなのかもしれない(それもおかしな話だと思うけど、それなら一応納得はできる。でもそれなら舞姫を題材にするなと思うけど)が、それ以上なら「最初いいと思ったくせに飽きたからって女をすてるなんて最低だ」というのは必ず入るものなのではないだろうか。以前は職を解かれる覚悟がありながら、後になって職の為にそれを放り出す等、どう考えても飽きである。

まぁ、私がお約束をクリアしていないというのは特段否定する気は無いし、「飽きた」の解釈をどのように捉えるかという点に問題が変わってしまうのだけど、私は十分にありえて、容易に想像できる可能性だと思うけどな。そしてその上で人道に反する様な態度から業を考えるお話なのだと思ってた。

正直、舞姫のお約束や妥当な解釈ってなんだろうと思う。だれか教えて。